過敏性腸症候群
過敏性腸症候群は漢方医学的に表裏・寒熟・虚実で分類すると裏寒虚証を呈することが多いです。この発症では体の内から発生する内因として心因的要素を考慮することが重要で、とくに恩、憂、恐に注意が必要です。また、外部環境要因としては寒、湿が、どちらともいえない不内外因としては飲食不摂生が挙げらます。気血水からみても気に対する考慮が大切になり、気虚、気滞、気逆と気に関するすべての病態がさまざまな割合で関与するといえます。おおまかにとらえると、桂枝加芍薬湯とこれから展開される建中湯類は気虚に対して用いられます。桂枝加芍薬湯とその加味方は本疾患に使われる機会が多いため、まず桂枝加芍薬湯についてしっかり理解することが重要になります。構成生薬は桂枝加芍薬湯と感冒などに用いる桂枝湯とはまったく同じであり、芍薬の量が違うだけです。しかし、これによって2つの薬の作用はまったく異なったものとなっています。漢方では生薬の量の加減により、薬全体の効果に大きな変化をもたらす場合もあります。この点が漢方を理解するうえで困難なところです。

過敏性腸症候群に効果のある代表的な漢方薬を紹介していきます。
桂枝加芍薬湯(けいしかしゃくやくとう)
桂枝加芍薬大黄湯(けいしかしゃくやくだいおうとう)
小建中湯(しょうけんちゅうとう)
黄耆建中湯(おうぎけんちゅうとう)
当帰建中湯(とうきけんちゅうとう)
平胃散(へいいさん)
半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)