機能性便秘
漢方医学からみて、便秘は気の停滞が大きな病因と考えられています。気をめぐらすことが大切であり、漢方は便秘の治療に昔からよく使われてきました。術後の腸管癒着など器質的疾患に大建中湯などが有効だったりしますが、漢方治療は機能性便秘に効果を発揮することが多いです。大きく分けると、大黄の入る薬方と大黄の入らないものに分けられます。機能性便秘の分類に基づいた漢方薬投与の例を挙げると、大黄を含む薬は主に弛緩性のものを、大黄を含まない薬は主に痙攣性のものによい適応があります。各種漢方薬の投与目標は体力の差、並存する気血水の病態により分類されます。便秘の西洋薬物療法で問題になることがいくつかあります。
電解質バランスの悪い腎疾患患者に対する塩類下剤、流産・早産の危険性に注意を要する妊婦に対する膨張性下剤、糖尿病患者に対する糖類下剤などがそうですが、このような人達には漢方薬が適しています。虚実の判別をしっかり行うことで、大黄の副作用を回避することは比較的容易とされています。

機能性便秘に効果のある代表的な漢方薬を紹介していきます。
大黄を含む漢方薬
大黄甘草湯(だいおうかんぞうとう)
調胃承気湯(ちょういじょうきとう)
桃核承気湯(とうがくじょうきとう)
大黄牡丹皮湯(だいおうぼたんぴとう)
大承気湯(だいじょうきとう)
麻子仁丸(ましにんがん)
潤腸湯(じゅんちょうとう)
桂枝加芍薬大黄湯(けいしかしゃくやくだいおうとう)
九味檳榔湯(くみびんろうとう)
防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)
通導散(つうどうさん)
乙字湯(おつじとう)
大黄を含まない漢方薬
大建中湯(だいけんちゅうとう)
桂枝加芍薬湯(けいしかしゃくやくとう)
小建中湯(しょうけんちゅうとう)
黄耆建中湯(おうぎけんちゅうとう)
当帰建中湯(とうきけんちゅうとう)